【Incubit for Seeds インタビュー アナウト株式会社】 後編:ブレイクスルーを経て起業へ。外科医療 x AIのスタートアップ、アナウト株式会社の目指す「より安全な手術」が実現する未来

目次

外科医の知識を人工知能に学習させ、手術中の視覚認識を手助けする「人体の地図」を作成している会社があります。2020年7月に創業した、アナウト株式会社です。アナウトは、現役の外科医である小林直さんが立ち上げ、「手術合併症の軽減」「医師の負担軽減・名医の技術承継」「手術ロボットの進化へ貢献」を目指し、外科医療における手術支援のための人工知能を活用したソフトウェア開発を進めています。
2018年からインキュビットが実施するAI共同研究開発型インキュベーションプログラム「Incubit for Seeds」のβ版プログラムに参加し、AI開発の共同研究を進めてきた小林さん。一体なぜ、現役の外科医である小林さんがAIを開発し、起業を決めたのか。一体どのような思いがあったのか。アナウトの小林さんに、インキュビット代表の北村がお話を伺います。(前編)「より安全な手術を提供したい」現役外科医の熱意とビジョンへの共感から手術支援AIプロジェクトが発足
(後編)ブレイクスルーを経て起業へ。外科医療 x AIのスタートアップ、アナウト株式会社の目指す「より安全な手術」が実現する未来

共同創業者である熊頭さんをプロジェクトに迎え、より現実的な別領域におけるAI開発に取り組みます。それを転機にブレイクスルーが訪れ、起業が一気に現実的なものになったと語ります。
小林さんは、世界でもトップ水準の手術技術を持つ日本でこそ、手術支援AIを開発する意味があると考えています。株式会社アナウトのビジョンとは。そして、今後、「Incubit for Seeds」に期待する事とは何でしょう。

現実的な視点を持たせてくれた共同創業者

北村:プロジェクトを進めていく上で重要人物だったのは、後に共同創業者となる、同じ消化器外科医で大学時代の同級生の熊頭さんですよね。ビジョンや未来のために動く小林さんに対して、熊頭さんは一歩手前を確実に押さえる堅実肌という印象を持っています。

小林さん:研究を始めて少し経った頃、何人かの人に研究の協力を打診しましたが、AI自体はいくら精度がよくなったとはいえ、まだ外科医が手術中に使えるレベルではなかった。それだと共に手を動かし研究にコミットしてくれる人をみつけるのは難しかった中、プロジェクトに参加してくれたのが熊頭です。

熊頭は僕と違う視点で物事をとらえ、常に現実的な視点を持っている。その熊頭がこう問いかけてくれたんです。「確かに今の研究が実を結んだら、外科医にとって本当に有用な情報を提示できる。ただ、その分、外科医を納得させられるほどの精度を出すのは非常に難しい。もう少し難易度が低く、でも外科医の助けとなるものがあるのではないか。」と。

そこから二人でアイディアを出し合って、いったん別の領域のAIモデルの開発に取り掛かることにしました。そうしたら、狙い通り、比較的短期間で高い精度の結果が出たんです。実際に外科医の助けとなるようなAIモデルが一つ完成した。それは大きな自信になりましたし、そのAIを使えば何らかの事業になるかもしれないと熊頭がビジネスモデルを考えはじめて、一気に起業が現実味をおびました。

寄り道からのブレイクスルー

北村:僕たちもあれだけの短期間で高い精度が出て、外科医の助けとなる可能性が見えたのはやはり、嬉しかったですね。並行して熊頭さんの作る事業計画にフィードバックもしていたんですが、僕が一つだけ言い続けたのは、小さくまとまらないでという事です。その時完成したモデルをベースにした事業計画だと、半年後、一年後までは未来が描けるけど、その先がなかなか見えてこなかった。起業するのだったら、大きなところを目指すのも大事だよと伝えた記憶があります。

小林さん:僕自身も当初から研究を続けていた領域でのAI開発を諦めたわけではありませんでした。実は、新しい領域のAIを作ったときに、新たな着想を得たんです。それを解決策の糸口に、インキュビットと一緒に新しい仮説に立って開発をやり直したのもこの時です。その結果、当初からの目標である「外科医が手術中に使える」位の精度がはじめて出ました。
結果が出ると堅実的だった熊頭の反応も変わって、「いけるよ、これなら」と太鼓判を押してくれました。そこで初めて、当初からやってきた研究が、本格的なビジネスプランになる見通しが立ちました。

起業へ

北村:ただ、当時の小林さんは、あくまで本業は外科医、それ以外の時間をプロジェクトに割くという形でした。なのでここから先のステージに開発を進めるのであれば、外科医でなく経営者としてコミットするかどうか決めてほしい。それができないのだったら、このプロジェクトを引き継いでくれる他の事業家を探す、と伝えました。

小林さん:そうでしたね。最終的に経営者としてコミットし、起業する決意を固めました。資金調達やVC(ベンチャーキャピタル。投資家)、知財についてなど、北村さんには起業にあたって必要な知識を色々教えていただいて。ただ、一度決意を固めたあとは、会社の主体は僕たちに任せてほしいとお願いしてインキュビットには開発支援に注力してもらいました。
2020年4月にビジネスバックグランドを持つ細見をチームに招き、2年間の開発から得られた自分たちにしかない技術と強みを改めて言語化し、一気に事業計画を作り上げ、研究開始からちょうど2年後、2020年7月にアナウト株式会社を創立しました。

世界でもトップ水準の技術を持つ、日本の外科医の知識を学んだAIが持つ可能性

北村:あらためて、アナウト株式会社の創業おめでとうございます。もう出会ってから2年も経ちますが、新たな会社として始動するタイミングまで支援ができて本当に嬉しいです。今回の手術×AIの分野は、世界を見渡しても、外科領域におけるAIの利活用に取り組んでいる会社はまだ非常に限られています。日本発のアナウトが本当の意味でフロンティアを切り開くことになるかと思いますが、アナウトとしてのビジョンや今後の計画について教えてください。

小林さん:日本の医療水準は非常に高く、特に僕が専門としている消化器外科の領域において、世界的にトップレベルにあるといえます。たとえば、がん医療の水準を測る「5年生存率」という指標があります。がん治療を開始してから5年後に生存している人の割合を表すものですが、この指標において日本は消化器のがんの生存率が世界で最も高い国の一つです。
もちろんこの数値は診断技術や検診受診率などの違いでも差が出てきます。ですが、外科手術の技量差がこの数字を大きく左右する要素ではあることに変わりはありません。

この日本における高いレベルの手術手技は、先人である医師から医師へと技術が継承されて初めて達成できたことです。また、この技術を保ち、外科医療のさらなる充実を目指す取り組みも数多く行われているんです。たとえば、内視鏡外科学会が行っている技術認定制度。これは、論文や学会発表の実績はもちろん、手術のビデオ審査を行い、一定以上の基準を満たした医師のみが資格を取得できる制度です。これは日本にしかない制度なのですが、手術の標準化や、高い技術の維持に大きく貢献しています。

一方、日本の手術レベルが世界的に高水準とはいえ、手術の合併症リスクは0ではありません。全国統計では消化器外科主要手術において10%の確率で重い合併症が起こっている。合併症は患者や家族にとって大きな苦しみとなるのはもちろん、担当する医療従事者や医療経済にとっても大きな負担となります。合併症をおこる確率を少しでも下げたい、その思いで色々な工夫を重ねながら、外科治療は一歩一歩進歩をとげてきました。

ときには10時間続くこともある手術中、外科医は視覚から得た情報を認識し、そこから「何を切るべきか、残すべきか」という判断を下し操作する。この一連の流れを何百回、何千回と繰り返します。判断によっては、患者さんの今後の人生が変わってしまうこともある。そんな外科医の代わりをするAIが実現するのは、まだ遠い先の未来かもしれませんが、その外科医をサポートできる日は近いと思います。画像認識の技術を使って、AIが客観的に高い精度で情報を提示してくれたら、それは外科医にとって非常に有用だし、合併症軽減に必ずつながります。外科医が必要とするときに自然と寄り添うような柔らかいAIを開発していきたい、そう思います。
世界でもトップ水準の技術をもつ日本の外科医の知識を学んだAIを開発することは、日本だけでなく世界においても、外科治療の進歩における次の一歩になりえると信じています。

「Incubit for Seeds」を振り返って

北村:最後になりますが、インキュビットとのプロジェクトを振り返ってみて、いかがですか。感想をお聞かせください。

小林さん:「外科医療における画像認識で手術を支援するAIを開発したい」という着想を得てから今日にいたるまで、本当に劇的な2年間でした。AI開発から起業にいたるまで、僕の人生におけるキーパーソンすべての方の力を借りたように感じます。そうした方々の協力がなければとても成しえなかったことで、感謝の念しかありません。

北村さんもその一人で、それくらい運命的なものを感じています。無謀な資料だけを抱えて飛び込んできた僕のアイディアに、これだけのサポートをしていただけた。「この人だったら、やりとげるだろう」という言葉は本当に嬉しかったし、その言葉に励まされたときも何度もありました。
今後も、AIを応用することで変革が起きる専門分野の方とインキュビットとの出会いで生まれるプロダクトを楽しみにしています。

北村:世界にまだない新しいものを作っていけるような人は、信念やビジョンとぶれない覚悟があるんです。小林さんは、向かうベクトルが研究からビジネスに変わったとしても、手術を支援するAIへの熱意は一度も変わりませんでした。

技術やビジネスに関する知識は、経験をつんだり頭で考えれば身につくものだし、僕たちもサポートできる。一方、信念やビジョンはそうはいかない。「熱意しかない」と言って来てくれた小林さんのようなビジョンある人を、インキュビットは今後もパートナーとしてサポートしていきたいと思います。

>(前編)「より安全な手術を提供したい」現役外科医の熱意とビジョンへの共感から手術支援AIプロジェクトが発足

・アナウト株式会社
・AI共同研究開発型インキュベーションプログラム「Incubit for Seeds」

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.wp-post a:hover{color:#333}外科医の知識を人工知能に学習させ、手術中の視覚認識を手助けする「人体の地図」を作成している会社があります。2020年7月に創業した、アナウト株式会社です。アナウトは、現役の外科医である小林直さんが立ち上げ、「手術合併症の軽減」「医師の負担軽減・名医の技術承継」「手術ロボットの進化へ貢献」を目指し、外科医療における手術支援のための人工知能を活用したソフトウェア開発を進めています。2018年からインキュビットが実施するAI共同研究開発型インキュベーションプログラム「Incubit for Seeds」のβ版プログラムに参加し、AI開発の共同研究を進めてきた小林さん。一体なぜ、現役の外科医である小林さんがAIを開発し、起業を決めたのか。一体どのような思いがあったのか。アナウトの小林さんに、インキュビット代表の北村がお話を伺います。(前編)「より安全な手術を提供したい」現役外科医の熱意とビジョンへの共感から手術支援AIプロジェクトが発足(後編)ブレイクスルーを経て起業へ。外科医療 x AIのスタートアップ、アナウト株式会社の目指す「より安全な手術」が実現する未来外科医である小林さんはAIの進化を知ると、ただちに自らの専門分野である外科領域への応用可能性を考え始めたそうです。インキュビットとの「手術支援AI」共同研究がはじまった背景には、小林さんの熱意と描くビジョンへの共感がありました。2018年5月、正式にプロジェクトが始動。果たして求める精度までAIの結果が出るのか。その答えは未知数のまま始まった中、「手術中の外科医が有用だと感じるか」と問い続けながら、一歩一歩地道にゴールへ向かったプロジェクトの軌跡を振り返ります。AI x 外科医療の着想北村:小林さんと私達インキュビットは2年以上前から「外科医の知識を人工知能に学習させ、手術中の視覚認識を手助けするAI」の研究開発を共に進めてきました。小林さんがAIに関心をもったきっかけを教えていただけますか?小林さん:2016年、ちょうどアルファ碁がチャンピオン棋士を破った年に、最先端のAIを紹介するTV番組を見たんです。病院で日々手術をすることが中心の外科医らしい生活をおくっていた中、AIの進化のスピードを目の当たりにして、非常に大きな可能性を感じました。CT上で5mm程度の肺がんをAIが見つけたと知り、AIは一部の診断領域において臨床で活用できるレベルに近づいているのか、と。とはいえ、僕の専門である外科領域においては、AIが実際に活用されるにはまだ時間がかかるだろうとも思いました。手術中の外科医が扱うのは、多様かつ膨大な生理学情報ですから。ただ、もしAIが外科医にとって有用な情報をリアルタイムで提示することができたら、手術はより安全になる。そのとき、カギとなるのは画像認識だろうと思いました。最近主流となりつつある腹腔鏡手術や手術支援ロボットでは、モニターをみながら手術するようになっています。画質が向上し、外科医は術部を極めて細かいところまで観察できます。一方、常に動く画像の中で、外科医がモニターに写る情報すべてを把握し続けることは非常に難しい。そこで、手術中の外科医にとって重要となる情報をAIがリアルタイムで提供できたら、それは確実に外科医の助けになるし、手術合併症の軽減につながると考えました。「画像セグメンテーション」からインキュビットへ北村:そこからどうやってインキュビットにたどり着いたんですか?小林さん:AIについて自分でも色々調べていくうちに、「画像セグメンテーション」という言葉を知りました。画像全体や画像の一部を検出するのではなく、ピクセル一つ一つに対して、カテゴリを関連付けるAIの技術です。外科領域で画像認識を活用するとしたら、この技術が必要になる。そう思ってGoogleで検索してみたら、一番初めに出てきたのが北村さんのブログでした。打ち合わせをお願いして、プレゼンテーション資料を準備し、「外科医療における画像認識で手術を支援するAIを開発したい」と提案しました。思えば当初のプレゼンテーションから今に至るまで、やっていることは実は変わってないですね。プロジェクト支援の決め手となった熱意北村:小林さんの提案を聞いて、AIが画像認識で手術を支援している未来は、いつか必ず実現するだろうと感じました。医療はインキュビットとしても注目している分野でしたし、それに取り組むのは、チャレンジングで面白そうだなと。そこで、「Incubit for Seeds」というプログラムにして、インキュビットは技術を投資するという形でサポートすることを決めたんです。会ってお話するうちに、この研究に対する小林さんの熱意がすごく伝わってきたのも、サポートを決めた大きな理由の一つでした。小林さんは外科医でありながら研究者でもあり、この先壁があっても諦めずに乗り越えられるだろう、そう感じましたね。小林さん:ありがとうございます。僕は外科医として患者さんに質の高い手術を提供するために技術を磨くことと同様に、外科医療に関する調査や研究も非常に重要だと考えています。合併症の発生をどのようにして防ぐか、どうすれば手術はより安全になるのか、データを集め検証を続けてきました。外科医になって5年目くらいの頃から、PC上で人体の構造の詳細を精密に描くことを始めました。人体を正確に描き表せるようになりたい、それがよりよい手術につながるのでは。そう願って始めた試みですが、いくら教科書通りの完璧なイラストを完成させても、実際に手術した時に人の体がその通りであることはほとんどありません。患者さん個々の違いを全てイラストで表現することはできませんが、AIにはそれができるのではないか。そしてそれが実現した時、より安全な手術が実現するのではないかと可能性を感じたのです。プロジェクトのゴールは実現できるのか、未知数なままでのスタート北村:AIのプロジェクトでは、実際に開発して結果を出してみるまで、どの程度まで精度が出るのか正確なところはわからないんです。ただ、この手術支援AIに関しては、僕は「ある程度のところまではいけるだろう」と考えていました。当時、インキュビットではすでに類似のプロジェクトの経験があったんです。温室で生育しているトマトの画像から、幹、枝、実を識別するAIで、農業用ロボットに使われている技術です。この画像認識の技術を応用すれば、手術支援AIでも一定の精度が出る自信はありました。小林さんは結果に対して、どのような期待値をお持ちでしたか?小林さん:プロジェクトのゴールは、AIが提示する情報を手術中の外科医が有用であると感じてもらうことです。つまり、AIの精度が外科医の認識力と同等ないしそれ以上である必要がある。そのレベルまで到達できるかどうかは、正直なところまったくの未知数でした。もちろん、それを目指すわけですが。現実的なゴールとしては、研究成果としてまとめられて、それを発表する事で手術支援AIを一歩実現に近づけることに貢献する。そこまでの精度は達成したいと考えていました。手術中の外科医にとって有益な情報とは何かを考え抜く北村:そこから具体的にプロジェクトの計画づくりを始めたんですが、スコープについてはかなり議論しましたよね。小林さんの専門である消化器外科の領域において、一口に手術といっても、胃がん手術、大腸がん手術など手術の種類は無数にあります。どの手術において、何を認識するのか。インキュビットから提案させて頂いたのは、とにかく対象を絞るという事です。最初から対象を複数にして色々試してしまうと、たとえば思うような精度が出なかったとき、何が原因で精度がでないのか特定できないんです。小林さん:手術中の医師にとって本当に有益な情報とは何か。それを考え抜いて、最終的に一つの手術である特定の対象一つだけを認識するというところまでスコープを絞り込みました。北村さんがおっしゃる通り、そこまで絞ると、試行錯誤出来る事がそもそも制限されるんですよね。その上で高い精度を出す方法論を確立できれば、それを他の対象に広げていくのは現実的だし、理にかなっているなと感じました。積み重ねていった成果北村:プロジェクト自体はある程度まとまった教師データを準備して、それに対してAIを開発。結果を分析した上で次の開発方針を決める、そのサイクルを繰り返していったのですが、今回の研究開発の結果についてはどう感じますか?小林さん:地道に一歩一歩階段を上るように精度を上げていったな、と今あらためて振り返ると感じます。最初から満足がいく結果が出たわけではありません。試行錯誤を重ねて、ある程度よい結果が出始めると、もっと精度を上げたくなります。誰かに見せて「もう一息」と言われると奮起してまた頑張る、その繰り返しでした。北村:研究開始時から比べるとすごい成果ですが、精度が上がってきたものをみるとまだまだと思いさらに上を目指す、とゴールが都度上がっていく感じでしたよね。小林さん:そうですね。結果が出るたび、これを手術中の外科医が有用だと感じるかと常に問い続けました。たとえ技術的にある一定以上の成果を出せたとしても、実際に外科医が有用だと感じなければ彼らの助けにはなりません。僕たちは非常に小さいチームだったので、こうしたらもっと精度が良くなるのではという仮説を立て、修正を行いその結果を検証するというサイクルを素早く廻しながら研究を進められたのは本当に良かったと思います。精度が段階的に上がる都度、共感、協力してくれる外科医の数も増えていきました。特に兵庫医科大学の篠原尚先生を始めとするエキスパート外科医からの助言は非常にありがたかったです。僕自身は外科医としてまだまだ半人前で、この研究を通してエキスパート外科医がもつ経験と知識を改めて学ばせていただきました。初めて先生にお会いした際に伺った手術に対する先生の哲学的な一言が強く印象に残り、それを研究に反映させることで精度が飛躍的に向上したこともありました。同世代や若手の外科医の先生たちも多数協力してくれて、そうした複数の外科医の視点を統合し、ブレの少ない平均的な答えを導くことができるのもAIの強みであると思います。>(後編)ブレイクスルーを経て起業へ。外科医療 x AIのスタートアップ、アナウト株式会社の目指す「より安全な手術」が実現する未来・アナウト株式会社・AI共同研究開発型インキュベーションプログラム「Incubit for Seeds」